戦争の悲惨さを描いた児童文学 初のアニメ化「ガラスのうさぎ」

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「ガラスのうさぎ」とだけ聞くとちょっとふわっとした映画を想像してしまうかも知れません。しかし実際はかなりハードな物語です。この映画は今まで何度も映像モチーフとして取り上げられました。作者は高木敏子。太平洋戦争での悲惨な体験を自費出版したものを金の星社が1977年に出版し、世間に認知されました。児童文学として学校の図書室で見かけた方も多いでしょう。忘れてはいけないものを思い出させてくれる作品です。

まずはあらすじのご紹介です。

ガラスのうさぎ出典:https://read01.com/0DLgk.html

1945年3月10日の東京大空襲で敏子は母と妹を亡くします。父の営んでいた下町のガラス工場跡からは母の亡骸も見つかりません。あったのは父の作っていたガラス細工のうさぎ。猛火で溶けかかっていたうさぎを敏子は掘り起こします。疎開先に向かう神奈川県の二宮駅でアメリカ軍の機銃掃射を受け、父も亡くしてしまいます。父の弔いを二宮の方たちに手伝ってもらい済ませた敏子は一旦は死を選ぼうとします。が、自分が死んでしまったら家族のお墓参りは誰がするのかと、強く生きる事を選びます。

戦後60年のメモリアル映画

2005年公開のこの映画は戦後60年の節目として作られました。すでに戦争を知らない世代に世の中が変わっている中、忘れてはいけない『命の尊さ』を教えてくれます。当時日本はたくさんの爆弾を色々な国に落としました。また敵国は日本に対してその何倍も爆弾を落としました。戦車同士の戦いや戦闘機同士の戦いもありました。しかし、その陰には『爆弾を落とされるだけの側』の存在がありました。それはもちろん日本だけの事ではありません。この映画は世界中の(今起こっている紛争なども含め)爆弾を落とされる側の視点に立った映画です。自分の身に置き換えて鑑賞して頂きたい一本です。

長編アニメーションで再現

原作者の高木敏子はアニメーションが嫌いでした。アニメイコール『漫画』、漫画イコール『伝わらない』と思っていた節があります。幾度かテレビアニメのオファーもあったようですが、すべて断っていたそうです。事実実写版では映画(蝦名由紀子主演)もドラマ(高部知子主演)も公開されています。この終戦60周年記念作品を長編アニメーション映画でOKしたのには孫の『やっぱアニメでしょ』の口添えがあったと言います。監督の四分一節子との打ち合わせも綿密に行い、脚本は6回も書き直したと言います。本人にして最後には『アニメについて認識不足でした』と言わしめたこの作品を、どうか観てもらいたいと思います。
「ガラスのうさぎ」は敏子の想い出なのでしょうか。私にはそうは思えません。私には恐怖の象徴のように思えます。ゆっくり考えながら鑑賞する映画だと思います。ありがとうございました。

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題名 ガラスのうさぎ
監督 四分一節子
出演 竹下景子
最上莉奈
制作年度 2005年
本編時間 84分
製作国 日本

ライター:kuma10