カンヌ映画祭で脚本賞を受賞した秀作「罪のてざわり」

 - アジア映画

   

中国の新しい世代を代表する俊英として注目されてきたジャ・ジャンクー監督が「プラットホーム」や「青の稲妻」同様、日本のオフィス北野、ビターズ・エンドと共同の形で製作した作品。カンヌ映画祭では脚本賞を獲得。日本でも劇場公開時に好評を得ました。

「罪のてざわり」のあらすじの紹介

罪のてざわり出典:http://www.phippsfilm.com/2013/12/touch-of-sin-jia-zhangke-2013.html

山西省の村に住む青年ダーハイは、自らも所有権を持つ炭鉱が勝手に売られたため、共同の所有者たちに抗議しますが聞き入れられません。怒りをたぎらせた彼は猟銃を持ち、その所有者たちを虐殺することに。また、別の青年チョウは地元の環境に馴染めず、強盗殺人を重ねます。そのほか、2つの物語が進行。いずれも困難な状況に悩む人間の末路が描かれるのです。

中国国内では上映禁止に

「長江哀歌」がヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を獲得するなど、現在の映画界で最も注目を集める存在となったジャ・ジャンクー監督がその演出力を遺憾なく発揮した秀作です。4つの無関係な物語を底流するのは中国の理不尽な社会状況に振り回される人間の姿。そのためか中国国内では上映禁止となり、本編そのものがネットで流出したということがニュースとなりました。

巧みな脚本が海外で高く評価

中国国内での製作のため、検閲を避けるためにジャ・ジャンクー監督は娯楽性を強調。実際に起きた事件に基づいていますが、かなりのアレンジを加えています。カンフー映画を思わせる様式性を持ち込んだ脚色ぶりの巧みさは海外で高く評価され、出品されたカンヌ映画祭では脚本賞を受賞。その高い評価にまたひとつ勲章が加わったわけです。
ジャンクー監督の技量の高さを再確認できる秀作。中国国内での上映禁止処分で分かるように、その社会の矛盾が鋭く描かれています。

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題名 罪のてざわり
ジャンル ドラマ
監督 ジャ・ジャンクー
出演 チャオ・タオ
チアン・ウー
制作年度 2013年
本編時間 129分
製作国 中国

ライタープロフィール

大地太郎
大地太郎
1920年代の古典作品から、フランス・ドイツ・イタリアの巨匠の作品、そしてアメリカン・ニューシネマまで、古い映画ならかなりの本数を見ています。特にハリウッドの黄金期の作品が気に入っています。

ライター:大地太郎