映画「魍魎の匣」。戦後東京で起きた不気味で哀しい事件の真相を描く物語

 - 邦画

   

舞台は昭和20年代の東京

美少女連続バラバラ殺人に端を発する壮絶な物語が始まる。太平洋戦争の敗戦から高度経済成長へ。その過渡期には人々が『今何かをしなきゃ』『今なら何でもできる』と、むやみに気が急いていた時代があったような気がする。

魍魎の匣出典:http://nyannko33.blog.fc2.com/blog-entry-636.html

この物語はちょうどそんな頃に起きた事件のお話。登場人物は、みなどこかせかせかとして、会話にも『間』がない。人と話すのも往来して歩くのも、仕事にしたってぼんやりしていたら出し抜かれる、そんな熱っぽい時代。誰もが自分の事で必死なこの時代に、それでも興味を惹かれるようなグロテスクな怪事件が起こる。

美少女連続殺人事件、しかも手口はバラバラ殺人。出版社でもその話題で持ち切りだ。

ある日そんな出版社の一つで少女の右腕ばかりが詰まった箱が発見される。一方、人気絶頂で引退した元女優の娘が失踪し、その調査を依頼される探偵榎木津。街には最近<深秘御筥教>なる怪しげな新興宗教が台頭している。

様々なファクターがだんだんと一つに絡み合い、おぞましくも哀しいクライマックスへと向かっていく。奇想天外な物語だが、戦後のあの熱に浮かされたような時代なら、起こりえた事件だったのかも・・・。

もちろんフィクションだが、そんな時代感をうまくとらえた作品だ。多くのファクターを監督原田眞人がぎゅっとまとめてスピード感あるエンタテイメント作品に仕上げている。

俳優陣は超豪華。豪華すぎて“キャストからの犯人当て” はムズカシイ?!

主人公は誰? と絞り込めないほど豪華キャストの本作。その中でもやはりメインとなるのは<拝み屋>こと陰陽師の京極堂(中禅寺秋彦)を演じる堤真一、探偵で人の記憶が見えてしまう特殊能力の持ち主榎木津役の阿部寛、売れない作家関口役の椎名桔平、この3人だろう。

魍魎の匣出典:http://alkirion.exblog.jp/6798900/

事件解決の為、けっこう危険な目にあったりするが、端々にその友情も描かれる。引退した元女優に黒木瞳、科学者に柄本明、嫌味な小説家に宮藤官九郎など”この人が出てきたからには何かある” と勘繰りたくなるようなキャストが目白押し。

昭和チックな雰囲気を盛り上げるのはマギーと荒川良々。この二人がいると”ああ戦後っぽい” と感じる。人もセリフも多いので、集中して鑑賞しないとストーリーから置いてかれちゃうかも。

原作は超人気作家・京極夏彦。『百鬼夜行』シリーズの最高傑作

推理小説がちょっとでも好きな人ならきっと読んでいるだろう、京極夏彦の小説が原作。主人公京極堂が事件を解決する『百鬼夜行』シリーズの2作目。このシリーズは長編と短編で1000万部以上も売れたという超人気作品。本屋で背が白とグレーの分厚い文庫本がたくさん並んでいるのを見かけた事はないだろうか? あのシリーズだ。
参照記事:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000109.000001719.html(2012年3月)

難しい漢字が多く、長さが半端ない小説なので手に取るまでは敬遠するが、一度読んでしまうと癖になるディープな世界観が魅力。映画を観て、”このシーンってどうしてああなったの?” と疑問が沸いた方は是非原作をどうぞ。寝不足になる事必至だけど。

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ライター:てんてんにゃんた