松田優作の狂気を感じて欲しい「野獣死すべし」

 - 邦画

   

日本ハードボイルド界の巨匠・大藪春彦の大ヒット小説『野獣死すべし』の松田優作バージョンです。過去に何度か映画化されていますが、1980年のこの作品が一押しです。松田優作といえば「家族ゲーム」での狂気がよく取り沙汰されますが、本作品ではもっと根深い狂気を感じられます。松田の狂気に触れて、感化されないようにお楽しみください。

まずはあらすじのご紹介です。

野獣死すべし出典:http://blog.livedoor.jp/ykcreations/archives/53048178.html

東大卒のエリート戦場記者だった伊達邦彦は、普段は読書とクラシックを愛す翻訳家として生活をしているが、心は常に金と暴力を渇望していた。警官を殺し拳銃を奪い、カジノの売上金を強奪した伊達は次のターゲットを銀行に定める。一人では無理だと判断した伊達は相棒に真田徹夫を引き入れる。真田には恋人殺しをさせ、その精神までも伊達の物にする。二匹の野獣は銀行強盗を成功させるが、たまたま銀行に居合わせた伊達に思いを寄せる令子を、伊達は冷たく射殺する。逃走中の列車の中で柏木刑事の尋問を受ける伊達邦彦。狂った尋問の先にあるものとは?ゆっくりとウィスキーでも飲みながら観たい作品です。

原作とは程遠い伊達邦彦

原作の伊達邦彦は身長180センチ、筋肉隆々のタフガイでした。しかしこの作品の伊達邦彦はいかにも細い。当時身長185センチ75キロほどだった松田優作は、『役作り』と称して雲隠れしました。その間彼は頬をコケさせるために奥歯を上下4本抜き、10キロ以上の減量をしていました。げっそりとした彼を見て監督の村川透は激怒したと伝えられています。もちろん原作者の大藪も怒りました。脚本があまりにも陰湿な若者に描かれていたためによかれと思い行ったのでしょう。おかげで伊達邦彦の狂気は際立ちました。真田役の鹿賀丈史も熱演しましたが、松田の狂気に喰われました。松田優作のみに注目していい作品です。

一番の野獣はどいつだ!

1959年の仲代達也、1974年の藤岡弘、が主演をした「野獣死すべし」も見ごたえのある作品でした。私見ですが、見た目では藤岡弘、(動物クサそう)が一番で、映画の内容としては仲代達也、眼力で松田優作、というところでしょうか。やはり映画化が早いだけあって原作に近い仲代達也のものは面白い。ただし今の時代に全くそぐわない内容なのは仕方ないです。アリバイは言ったもん勝ち、空港まで来て諦める警察など、リアリティが無い部分がけっこうあります。できるならば、本当にできるならばですが、この三本は一度に見て、比べてみたい映画です。機会がありましたらお試し下さい。きっと新しい発見があると思います。

原作のこのシリーズは第5作の『諜報局破壊班員』からガラリと内容が変わります。愛国心のカケラも無いスパイものになります。個人的にはここからが面白いと思っているので、どなたか映画化して下さいませんでしょうか?

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題名 野獣死すべし
監督 村川透
出演 松田優作
小林麻美
制作年度 1980年
本編時間 117分
製作国 日本

ライター:kuma10