「黒い雪事件」として社会的話題になり、タブーに挑んだ問題作「黒い雪」

 - 邦画

   

いわゆる「武智歌舞伎」で話題を呼んだ武智鉄二が手がけた映画作品で、監督第3作に当たります。その性的表現によって裁判沙汰となり、当時大きな話題となりました。映画史のみならず、近代史の上でも注目すべき作品です。

「黒い雪」のあらすじの紹介

黒い雪出典:http://worldscinema.org/2012/09/tetsuji-takechi-kuroi-yuki-aka-black-snow-1965/

崎山次郎は横田基地のそばに住んでいます。母親が駐留軍相手の売春宿を経営しているためでした。女たちが屈強なアメリカ人兵士たちに体を売り、自分がその金で暮らしているのだと思うと、次郎の心は複雑な気持ちにかき乱されます。やがて、密かに惚れていた少女・静江がレイプされると、それまで抑えられていた次郎の暴力衝動には歯止めが利かなくなります。殺人を犯した彼は、さらに野蛮な行動へ……。

わいせつ陳列罪として起訴された

この映画はその内容や評価より、のちに「黒い雪」事件として社会的話題になったことで有名です。映倫を通った末に、日活というメジャーな配給網が上映。それなのに関係者をわいせつ図画公然陳列罪で起訴、という"官憲の横暴"が、後の「愛のコリーダ」同様、映画表現の自由が損なわれた事例としていまだに言及されているほどです。

見る側を絶えず挑発してきた武智鉄二

いわゆる松竹などの歴史ある舞台とは違う"武智歌舞伎"を上演したことで文化史に名前を残す武智鉄二ですが、映画製作においてはもっぱら性の問題を前面に押し出し、絶えずスキャンダラスな話題を提供してきました。そのクライマックスとも言えるのがこの作品で、性と政治を図式的なまでにストーリーに絡め、刺激的描写で全編を彩っています。
長い間名前のみ有名で、実際に見た人の少なかった話題作。その刺激的描写は見る人によって様々な意見が出るでしょうが、歴史的価値からみても是非一見すべき作品です。

黒い雪の動画を見る

題名 黒い雪
ジャンル セクシー
監督 武智鉄二
出演 花ノ本寿
村田知栄子
制作年度 1965年
本編時間 89分
製作国 日本

ライタープロフィール

大地太郎
大地太郎
1920年代の古典作品から、フランス・ドイツ・イタリアの巨匠の作品、そしてアメリカン・ニューシネマまで、古い映画ならかなりの本数を見ています。特にハリウッドの黄金期の作品が気に入っています。

ライター:大地太郎