「スウィート・ノベンバー」イケメン・アクション俳優、キアヌ・リーブスの演技が楽しめる映画③

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「スウィート・ノベンバー」は、ハリウッドの往年の名作「今宵かぎりの恋を」(1968)を、キアヌ・リーブスとシャーリーズ・セロン共演でリメイクした恋愛映画である。

主演の二人は、過去に「ディアボロス/悪魔の扉」(1997)で夫婦役にて共演しており、本作は2度目の顔合わせとなった。

監督は、長編デビュー作「キャル」(1984)でカンヌ国際映画祭パルムドール候補になったパット・オコナー。

「ハリー・ポッター」(2001~2011)シリーズでルシウス・マルフォイを演じたジェイソン・アイザックスと、海外ドラマ『ヤング・スーパーマン』(2001~2011)でレックス・ルーサーを演じたマイケル・ローゼンバウムが、ヒロインのゲイの親友を熱演している。

スウィート・ノベンバー出典:http://michi0103.at.webry.info/201302/article_4.html

映画の見どころ

キアヌが演じる仕事以外に何の興味を持っていない孤独な男ネルソンに、シャーリーズ・セロンが演じるヒロインのサラが一ヶ月だけ恋人になるという提案を呑ませ、次第にネルソンの孤独な心に人を愛するという人間的な気持ちが蘇ってくる過程を描く。終盤には意外な展開になっていき、良い意味で昔懐かしいメロドラマの現代版として楽しめる。

「ディアボロス/悪魔の扉」でのヒステリックな演技が強烈だったシャーリーズ・セロンだが、今回はひたすらキュートな演技で、主演のキアヌどころか観ている我々の視線さえも釘づけにしてしまう。彼女の演技を楽しみながら、キアヌの愛の再生をじっくり観ていくのが正しい見方といえる。

スウィート・ノベンバー出典:http://eigakataru.jugem.jp/?eid=1202

成宮秋祥の一推しレビュー

本作のキアヌの演技は、自ら存在感をアピールしようとしないところが「ディアボロス/悪魔の扉」に似ている。しかし、その映画でアル・パチーノやシャーリーズ・セロンの強烈な演技に終始圧倒されていた感があったのに対し、本作のキアヌはシャーリーズ・セロンの演技を純粋に受け容れようとする包容力が感じられた。仕事馬鹿で中身が空っぽだった主人公ネルソンが、徐々にピュアな愛に目覚めていく過程もしっかり演じているので、終盤の展開は切ないながらも感動できるものになっている。

キアヌは自分から目立とうとせず、他者の魅力を受け容れつつ引き立たせ、それを持って逆に独自の存在感を放つ稀有な俳優といえるだろう。

ちなみに、(あくまで個人的な見解に過ぎないが)、キアヌと二度共演した女優は後にアカデミー賞を受賞するというパターンが存在するように思う。本作のシャーリーズ・セロンは2年後の「モンスター」(2003)でアカデミー賞を受賞し、「スピード」(1994)と「イルマーレ」(2006)でキアヌと共演したサンドラ・ブロックは「しあわせの隠れ場所」(2009)でアカデミー賞を受賞した。

その他、「チェーン・リアクション」(1996)と「コンスタンティン」(2005)でキアヌと共演したレイチェル・ワイズは「ナイロビの蜂」(2005)で、「コンスタンティン」(2005)と「サム・サッカー」(2005)でキアヌと共演したティルダ・スウィントンは「フィクサー」(2007)で、それぞれアカデミー賞を受賞した。

近年の話題作である「47RONIN」(2013)でキアヌと共演したアカデミー賞ノミネート経験のある菊地凛子も、もしかするともう一度キアヌと共演すると近いうちにアカデミー賞を獲れてしまうかも? なんて想像するのも楽しいかもしれない。

今後も将来の名女優の素晴らしい演技を受け容れ、引き立たせるキアヌの活躍に期待したい。

スウィート・ノベンバー出典:http://addictm.blog95.fc2.com/blog-entry-198.html

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ライタープロフィール

成宮秋祥
成宮秋祥
キネマ旬報(読者の映画評)に2年間で掲載5回。ドキュメンタリー雑誌『neoneo』(neoneo web)や『ことばの映画館』(ことばの映画館Web)に映画レビューを寄稿。映画交流会「映画の”ある視点”について語ろう会」主催。

ライター:成宮秋祥