映画「ヴィンセントが教えてくれたこと」にみる"いい人" の定義

 -

   

連載3回目の今回は、老人と少年の交流を描いた「ヴィンセントが教えてくれたこと」をご紹介します。一人で自由奔放に暮らしている老人ヴィンセントと、隣に引っ越してきた少年のお話です。

少年をいやいや面倒みるヴィンセントは、かなり暴力的で口の悪いおじいちゃん。このファンキーなおじいちゃんと少年の関わりを通して、「いい人」の定義についても考えてみたいと思います。

ヴィンセントが教えてくれたこと出典:http://urx.red/BiSz

30秒でわかるあらすじ

アルコールやギャンブルが大好きな老人ヴィンセントは、隣に引っ越してきたシングルマザーの息子、オリバーの面倒を見ることに。12歳の子どもでもお構いなしに、競馬場やバーに連れ回します。

あるとき、オリバーがいじめっ子たちにいじめられている現場を見たヴィンセント。彼らを追い払うと、オリバーにケンカの仕方を教えます。それからは徐々に2人は心通わせていきますが、そんな中ある問題が発生。オリバーの父親が親権を求めてきたのでした。

ヴィンセントはいい人?悪い人?

言ってしまえば“しょうもないじいさん”

この映画はヴィンセントという問題児のようなおじいさんを見守る映画です。暴力的で、夜の女と親しくて、物をかっぱらって、バーでグラスを叩き割って怪我をする、自由奔放な人。

そんな人にシッターをさせるわけですから、そりゃあ競馬場に連れて行かれたりバーに連れて行かれたりと教育上よろしくないわけです。少年の母親も『預けなきゃよかった』とキレますし。

でも、少年にとって教育上よろしくないことって、最高に楽しいですよね(オリバーはいい子なので多少反発していましたが)。だから少年にとってヴィンセントは、『刺激的なことを教えてくれる先輩』。でもその内容はろくでもないので、“しょうもない人” と表現するのが彼にはぴったりだと思います。

ヴィンセントが教えてくれたこと出典:http://thefilmexperience.net/blog/2014/10/17/review-st-vincent.html

いい人ってなんだろう?

この映画の中には、『いい人ってどんな人だろう?』という問題提起・メッセージがあり、それがこの映画を読み解く上での重要なポイントとなります。

では、お世辞にもご近所からは『いい人』とは言われないであろう彼ですが、実際に彼の本質は『いい人ではない』のでしょうか?

たしかにヴィンセントのダメ人間である部分を全否定はしませんが、それはあくまでも表面的なこと。彼が今何を抱えていて、どんな人生を歩んできたのか…それを知ったとき、観客はこの“しょうもないヴィンセント” を好きになることでしょう。

他人のことは自分が見えている部分でしか評価できないのですから、簡単にいい人悪い人なんて分類できるものではないのかもしれませんね。

おもしろいことを教えてくれるおじいちゃん

私は祖父から虫取りや習字のおもしろさなどを教わりました。みなさんもおじいちゃんから、何かおもしろいことを教わりませんでしたか? 生活の知恵を教えてくれるのがおばあちゃんなら、人生を豊かにするおもしろいことを教えてくれるのがおじいちゃんですね。(ヴィンセントはややファンキーですが)

さて、ご老人がメインの映画紹介は次回がラストとなりました。最後にご紹介するのは、尊厳死と向き合う老人たちのお話。人生の終え方について考えたいと思います。

ヴィンセントが教えてくれたことの動画を見る

ライタープロフィール

表ひつじ
表ひつじ
映画やライフスタイル記事を中心に執筆する新卒フリーライター。学生時代nanapiやSHERYLでライティング・編集を経験。アンニュイな映画やごちそう映画を中心に幅広く鑑賞します。

ライター:表ひつじ