異色?80年代に作れらたベトナム戦争映画3選 - 映画みちゃお!

異色?80年代に作れらたベトナム戦争映画3選

 - 洋画

   

長々と続いたベトナム戦争はアメリカを疲弊させ、戦争終結後には「タクシー・ドライバー」「ディア・ハンター」「地獄の黙示録」など多くの社会派映画が作られました。スタローン主演の「ランボー」1作目もそうだったりします。今回は80年代に入ってから作られた必見のベトナム映画3選をご紹介します。

キューブリック監督の批判魂が詰まった「フルメタル・ジャケット」

フルメタル・ジャケット出典:http://quotesgram.com/full-metal-jacket-movie-quotes/

スタンリー・キューブリック監督は完璧主義者といわれ、作品の数はそう多くありません。この作品は前作「シャイニング」から7年の時を経て製作されたもので、ほかのベトナム戦争映画にはない本気度が伺えます。
予告編です。

キューブリック監督が描いたのは戦争によって壊されていく自我。特に海兵隊訓練キャンプの鬼教官・ハートマン軍曹の指導は尋常ではありませんでした。なにせ、自殺者がでるまで追い詰めていくのですから。さらに、ラストでは皆が知っている曲が使われます。「時計じかけのオレンジ」では「雨に唄えば」が逆説的に使われていましたが、この作品でも狂気を表現するために最大の効果を発揮しています。そのシーンがこれです。

フルメタル・ジャケットの動画を見る

フルメタル・ジャケット [DVD]
ワーナー・ホーム・ビデオ (2008-09-10)
売り上げランキング: 129,346

デ・パルマ監督が描く反戦映画の傑作「カジュアリティーズ」

独自の映画手法で、ハリウッドではめずらしくカルト的な人気を誇るブライアン・デ・パルマ監督は、アメリカの苦悩を描いた作品が多いベトナム戦争映画の流れに背いて、アメリカの戦争犯罪についての作品を発表しました。
予告編です。

fullmetaljacket_2出典:http://livedoor.blogimg.jp

描かれるのは戦争中に少女をレイプした上官たちと、それを告発する兵士。ここで注目したいのは、アメリカの暗部に切り込む主人公を演じたのが、当時「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で飛ぶ鳥を落とす勢いを持っていたマイケル・J・フォックスだったという点。あえて社会派映画を、メジャー作品に昇華させた手腕に心打たれます。一方、敵役の上官を演じるのはショーン・ペン。当時、マドンナの元旦那の印象が強かった彼ですが、この作品以降、性格派俳優としての地位を上り詰めていきます。

ベトナムが作ったベトナム戦争映画「無人の野」

fullmetaljacket_3出典:https://www.city.fukuoka.lg.jp/fu-a/ja/film_archives/detail/255.html

最後の1本は、ベトナムが作ったベトナム戦争映画「無人の野」。1981年のモスクワ国際映画祭で、金賞と批評家大賞を受賞した作品です。ハリウッドの製作したものとは異なり低予算の作品で、ヘリコブター一台で戦争を表現、一組のベトナム人親子の姿を通して戦争の悲劇を描いています。子どもをビニール袋に入れて池の中に身を隠し、敵機から逃れるという描写が何より鮮烈な作品です。

この作品は、そのラストに感動が用意されています。墜落するヘリコブターの中にいるアメリカ兵(悲しいかなアメリカ兵もベトナム人俳優が演じています)。その死体からこぼれ落ちる家族の写真。アメリカ製ベトナム戦争映画が自国の苦悩に終始しているのに対し、ベトナムは戦争自体の悲劇を描いているのが対照的ではないでしょうか。

ライター:入穂流夏