三田健一の映画の小噺① ジャック・ブラック主演「スクール・オブ・ロック」

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「スクール・オブ・ロック」は、ジャック・ブラック主演、リチャード・リンクレイター監督の2003年のコメディ映画だ。映画の随所にロックへの熱いこだわりが見て取れて、ミュージシャンなら誰もが無言で頷いてしまうような、いわゆる『分かっている』感じの映画である。だがそれだけではなくドラマとしても起承転結がはっきりしており、正直に言うとロックに詳しくなくても楽しめる。今回はこの「スクール・オブ・ロック」について、何か書いてみようと思う。

「スクール・オブ・ロック」のあらすじ

スクール・オブ・ロック出典:http://gormenghast.jugem.jp/?eid=79

デューイ(ジャック・ブラック)は誰よりもロックを愛する熱い男。しかし自分の立ち上げたバンドをクビにされ、ルームメイトのネッド(マイク・ホワイト)からも家を追い出されかけるなど私生活は散々だ。そんな時、ネッド宛に代用教員の仕事が舞い込み、デューイは彼に成りすまして名門小学校の教員として働く事に。担当クラスの子供たちに勉強を教える気は全くないデューイであったが、音楽の授業を覗いてみてから子供たちの持つ音楽的才能に驚かされる。彼は勉強の代わりに子供たちにロックを教え、念願であったバンドバトル出場のために奮闘する。

リチャード・リンクレイター監督の語る映画への想い

スクール・オブ・ロック出典:http://eiphonics.com/40.html

12年間という長期間を費やした映画「6才のボクが、大人になるまで。」を手掛けた事で、様々な監督賞を受賞したという映画界きっての変わり者、リチャード・リンクレイター監督。そんな彼の出世作と言っても過言ではないのがこの「スクール・オブ・ロック」だと私は思う。当時はまだそこまで有名じゃなかったジャック・ブラックを起用し、彼の持ち味を存分に生かして作品が作られた。このおかげでジャック・ブラックが『ちょっぴり面白くてイケてる俳優』と認知されるようになったのもまたこの映画の功績だ。
リチャード・リンクレイター監督はこの映画について『単なる子供向けの映画にはしたくない』と語っている。舞台は小学校だしキャストも大部分が少年少女で、嫌でも子供向けの映画になる事は疑いようがない話ではある。しかし「スクール・オブ・ロック」は2003年10月に全米興行成績のトップを勝ち取っている。子供だけでなく大人にも幅広く鑑賞されて評価された結果だろう。リチャード・リンクレイター監督は有言実行させたのである。

自分が唯一DVDを買った映画作品

スクール・オブ・ロック出典:http://deki-sumeshi.hatenadiary.jp/entry/2016/11/01/125517

先ほどのリチャード・リンクレイター監督の発言のソースは、「スクール・オブ・ロック」の映画DVDの特典としてついてきていたオーディオコメンタリーからの引用だったと思う(うろ覚え)。自分にとっては唯一DVDを持っている作品で、思い入れもひとしおだ。監督ら製作陣によるオーディオコメンタリーも観たし、メイン子役らによるオーディオコメンタリーも観た。『好きな教科何?俺は保健体育かな』『やめろよ、女子が若干引いてるだろ』みたいな子供たちのやり取りも何となく覚えている。飾らない少年少女のやり取りを聞きながら映画をまた一周するのも楽しかった。
テネイシャスDというロックバンドで実際に活動しているジャック・ブラックに迫ったドキュメンタリー風の特典映像などもあり、ファンにとってはたまらないDVDであると思う。

ロックの神、レッド・ツェッペリンの『移民の歌』

ロックにも派閥は色々あるが、レッド・ツェッペリンは偉大なるロックバンドの一つであることは疑いようがない。だが彼らは権利関係に厳しく、映画で楽曲の使用などは不可能かと思われていた。そこでジャック・ブラック含むスタッフやキャスト、エキストラの全員で『移民の歌』の使用を頼み込んだという逸話が存在する。彼らはカメラ越しに『この楽曲の存在がないと、この映画が完成しない』と語りかけ、そして全員で『移民の歌』を歌ってみせたのだ。その結果、レッド・ツェッペリン側の心に響いたのか、無事に『移民の歌』の使用が許可された。この様子はDVDの特典映像として収録されているので、気になった人は観てみて欲しい。ロックが『人の心を動かす音楽』であるという事を感覚で理解できるだろう。
この映画のサウンド・トラックにも『移民の歌』は収録されている。その他、実際に映画の中で語られた往年の名曲や、子供たちの演奏するオリジナル楽曲も詰まっていて聴きごたえは十分だ。仮に映画を知らない人がサウンド・トラックを聞いても夢中になれそうな魅力がある。

中学生の自分と「スクール・オブ・ロック」

スクール・オブ・ロック出典:http://blogdailyherald.com/2014/11/13/young-school-rock/

この映画を視聴した時、私はまだ中学生の中頃だったと思う。何かの拍子に予告編を見て、『あっこれは絶対に面白いヤツだ』と確信して劇場に走ったのを覚えている。結果、音楽に興味があった少年時代の自分の心は見事にガッチリと掴まれて、DVDが発売するや否や友達に布教を始めるという、周りから見るとハタ迷惑な状況が誕生した。
何よりも心を奪われたのは、キーボード担当のローレンスの成長である。丸顔でメガネでちょっぴり自分に自信のない少年というキャラクターであった彼が、当時の自分と少し被っている部分があったのかもしれない。彼のバンドバトルでのソロ演奏シーンは必見である、片手でキーボードを弾きながらもう片方の手を銃の形にし、観客たちを射抜くようなパフォーマンスをするのだ。自信に満ち溢れた姿というよりは、『自分の居場所がここにある』という安心感のようなものを持って演奏&演技をしている。人が何かを乗り越えて成長するというのは、ベタではあるが感動するものだ。当時の私も勇気を得られたと思う(その勇気を有効活用したかどうかは置いといて)。
この映画に影響された私と友人数人は、実際に人前でバンド演奏をしてみようとした。エレキギターではなくアコースティックギターを持って、中学校の文化祭で演奏した曲目は、当時アテネオリンピックの中継に使用され世間で流行していた、ゆずの『栄光の架橋』。当時は満足していたが、10年以上経った今ならこう言える。少年達よ、それは全然ロックしてないぞ、と。

終わりに

スクール・オブ・ロック出典:http://tehparadox.com/forum/f89/school-rock-2003-hdtv-x264-4068848/

「スクール・オブ・ロック」は私にとっては思い出の詰まった映画だ。この映画について書く機会を貰えて嬉しかったというのが本音になる。記事を書く際に軽く調べものをしたのだが、「スクール・オブ・ロック」は本当に幅広い世代に愛されているのだなと感じることができた。個人で運営するファンサイトなども発見し、自分以外にもこの映画に心を動かされた人がいるのかと思うと何となく心強い気持ちになった。この映画が後の世でも語り継がれるような愛される存在になって欲しいと切に願う。

スクール・オブ・ロックの動画を見る

映画みちゃお!の映画情報

題名 スクール・オブ・ロック
ジャンル コメディ
監督 リチャード・リンクレイター
出演 ジャック・ブラック
ジョーン・キューザック
制作年度 2003年
本編時間 108分
製作国 アメリカ

ライタープロフィール

三田健一
三田健一
26歳。自称インターネット長文屋さん。
文字書きとして創作活動をする傍ら、2016年より映画みちゃお!の編集担当Aとして勤務。
好きな食べ物はバウムクーヘンと天下一品ラーメンです。

ライター:三田健一