三田健一の映画の小噺② アーノルド・シュワルツェネッガー主演「コマンドー」

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アーノルド・シュワルツェネッガーの完璧にビルドアップされた肉体は、作中で『筋肉モリモリマッチョマンの変態』と語られた。インターネットを中心に、若い世代に人気を誇る本作「コマンドー」は、マーク・L・レスター監督によるアクション映画。えっ、まだ「コマンドー」を観たことがない?面白い奴だな、気に入った。殺すのは最後にしてやる。

「コマンドー」のあらすじ

コマンドー出典:https://blogs.yahoo.co.jp/gh_jimaku/22558356.html

ジョン・メイトリクス(アーノルド・シュワルツェネッガー)はかつてコマンドー部隊の隊長だったが、今は退役し山小屋で娘のジェニー(アリッサ・ミラノ)と共に暮らしていた。しかしある時、元コマンドー部隊の隊員が次々と殺されるという事件が発生、メイトリクスの元へカービー将軍(ジェームス・オルソン)が忠告へやってくる。そこを狙い澄ませたかのように謎の武装集団が現れ、激しい戦闘の後にジェニーを連れ去ってしまう。首謀者はかつてメイトリクスの部下であったベネット(ヴァーノン・ウェルズ)だった。メイトリクスは娘を人質に取られ、バル・ベルデ共和国の大統領の暗殺を強制させられるが……。

とにかく分かりやすく爽快な内容が魅力

コマンドー出典:http://p3.no/filmpolitiet/2013/12/topp-5-arnold/

『見どころ』なんていう言葉で表すのもおこがましいくらい、この映画の魅力は分かりやすいのがポイントだ。概要なんて『娘をさらわれた父親が救出のために奮闘する』、この一言で済んでしまう。それを裏付けるのが、アーノルド・シュワルツェネッガーのアクションシーン。怒りに燃える父親という設定で、ムキムキの肉体を見せつけるようなワイルドなアクションを見せつけてくれる。脳ミソにまで筋肉が詰まっているのか、『OK!』と叫びながら銃をぶっ放したりするようなお茶目な一面も覗かせてくれる。
ストーリーというよりは雰囲気を味わう映画と言った方が正しい。物語としての驚きは少ないし、考察すべきポイントなんかも全然ない。悪い奴(ベネット)がいて、そいつから大切な人(ジェニー)を取り戻すために、主人公(メイトリクス)が奮闘する。気を張らなくても視聴でき、十分に楽しめる映画の代表的作品だろうと私は思っている。

豊富な『コマンドー語録』と熱狂的なファンたち

コマンドー出典:http://shatthemovies.com/commando-1985/

この映画の真骨頂は、吹き替え版の存在である。平田勝茂の翻訳によるテレビ朝日版の『吹き替え版コマンドー』こそが真の姿だと言ってしまっても過言ではないと思っている。翻訳された台詞はどこか独特で、時に斜め上で、何とも言えない茶目っ気のある言い回しが妙に映像とマッチしており、不思議な世界を演出している。
この『吹き替え版コマンドー』はインターネットにおいて、まさしく“カルト的”と言うような熱烈な人気を誇っている。「コマンドー」で検索すると、様々な名台詞、いわゆる『コマンドー語録』を取り扱ったページが出てくることだろう。『吹き替え版コマンドー』はネットスラングとしての側面を持ち、匿名掲示板やSNSなどに使いやすいというのもまた人気の秘訣だ。『ただのカカシですな』『説明書を読んだのよ』『あれは嘘だ』など、日常会話に挟みやすいのが高得点。
この『コマンドー語録』を使いこなしたファンたちの会話(と言う名の戯れ)は必見だ。『何が始まるんです?』と言えば『第三次大戦だ!』と返ってくるし、『銃なんか捨ててかかって来い!』と言えば『野郎、ぶっ殺してやらぁぁぁ!』と凄い顔で言ってくれる。文字にしてもどことなく可笑しいのだから、映画で観るととてつもなく可笑しいというのを分かって欲しい。

実は進行していたリメイク企画、そしてロシア版リメイク

コマンドー出典:http://waichingsthoughts81.blogspot.jp/2016/12/retro-review-commando-1985.html

1985年にアメリカで公開されてから現在まで長きにわたって愛され続けてきた本作「コマンドー」。実はリメイク化の話が進行していたのはご存知だろうか?2010年にリメイクを制作することが決定したと報じられた。監督を務めるのは「スーサイド・スクワッド」などの人気作で知られるデヴィッド・エアー監督。これによりファンは歓喜し、新たな「コマンドー」の世界が開かれる事に胸を躍らせた。
しかし残念な事に、2014年になるとリメイク化のプロジェクトの頓挫のニュースが飛び交った。デヴィッド・エアー監督がプロジェクトから離脱し、それにより計画自体が霧消してしまった模様だ。リメイク化の進展を心待ちにしていたファンは落胆し、涙に枕を濡らしたという。かくいう私もその一人である。
その代わりという訳ではないが、実は「コマンドーR」というリメイク作品があるのをご存知だろうか?ロシアによって2008年に制作されたリメイク版の「コマンドー」で、舞台をロシアに、俳優をロシア人に置き換えて制作されている。『誘拐された娘を救うために父親が奮闘する』という物語の筋書きに変更はなく、ロシア映画らしいウィットに富んだ台詞や演出などが随所に散りばめられた良リメイク作品なのだが、残念な事に日本では劇場未公開となっている。流通は少数ではあるが、日本語字幕と吹き替えに対応したDVDパッケージ版が存在するので、気になる人は探してみてはいかがだろうか。

名台詞に投票してベネットメモ帳を貰った話

コマンドー出典:http://u0u1.net/COQs

公開から30周年を迎えて、人気の高まる「コマンドー」。20世紀フォックスエンターテイメントジャパンによる『吹替の帝王』シリーズでも第一弾・第八弾としてディレクターズカット版のDVDソフトが販売されている。30周年を記念して、ベネットの中の人ことヴァーノン・ウェルズが日本向けにメッセージを発信してくれるなど、界隈は大いに盛り上がった。
その中でも私にとって印象が強いのは『ベネットの名台詞メモ帳プレゼントキャンペーン』である。この映画における悪役、ベネットをイメージしたメモ帳を抽選でプレゼントするというもの。私はこれに見事に当選し、自宅にベネットメモ帳が送られてきた。彼の服をイメージしたメモ帳を開いてみると、迫真の表情のベネットと集中線付きの吹き出しが。いくらでも遊べるオモチャを貰った気持ちで嬉しかった。
ちなみに、応募する際には「コマンドー」の好きな名台詞に投票する必要があった。私が投票した名台詞、それは『見てこいカルロ』である。唯一名前のあるモブキャラであり、この台詞によるいわゆる“死亡フラグ”の立て方はまさしく一級建築士のそれだ。今度「コマンドー」を視聴する際は、彼の死にっぷりから目を離さず視聴してもらいたい。

終わりに

コマンドー出典:http://www.styleforum.net/t/531202/sullys-suit-from-the-movie-commando

世代を超えて愛される「コマンドー」。実は私が本作を初めて観たのはつい数年前のことである。今となっては『なんでもっと早く観なかったんだろう』とその魅力に引きずり込まれてしまっている。インターネットスラングやコラージュ画像で話題を目にする事が多い本作、苦手意識を持つ人も多いかと思うが、一度視聴してみてから良し悪しを判断してみても悪くないのではないかと思っている。可能であれば、下らない事をゲラゲラ笑い合える友人と一緒に鑑賞というのはどうだろうか。きっと素敵な体験になることだろう。
また、頼みがあるんだが、私を起こさないでくれ。(この記事を執筆した事で)死ぬほど疲れてる。結局は、私も『ただのカカシですな』というところである。

コマンドーの動画を見る

映画みちゃお!の映画情報

題名 コマンドー
ジャンル アクション
監督 マーク・L・レスター
出演 アーノルド・シュワルツェネッガー
ヴァーノン・ウェルズ
制作年度 1985年
本編時間 92分
製作国 アメリカ

ライタープロフィール

三田健一
三田健一
26歳。自称インターネット長文屋さん。
文字書きとして創作活動をする傍ら、2016年より映画みちゃお!の編集担当Aとして勤務。
好きな食べ物はバウムクーヘンと天下一品ラーメンです。

ライター:三田健一