クリント・イーストウッドが世に問う第二次世界大戦とは。日本人目線で描いた「硫黄島からの手紙」

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俳優としても監督としても多忙なイーストウッド

中高年以上にはマカロニ・ウェスタンや「ダーティハリー」シリーズの印象が強いクリント・イーストウッド。俳優業もさることながら監督業も多く、処女作の「恐怖のメロディ」(1971)以降、コンスタントに作品を世に送り出している。特に還暦を迎えた1990年頃からは、数年おきに発表する量産体制になっている。
作品賞や監督賞などアカデミー賞4部門を受賞した「ミリオンダラー・ベイビー」(2004)の次に、当時76歳のクリント・イーストウッドが第二次世界大戦を日米それぞれの視点から描いた二部作「父親たちの星条旗」と「硫黄島からの手紙」。

上陸出典:http://argunners.com/review-letters-iwo-jima-dvd-2006/

米国の熾烈な攻撃に応戦する兵士たちが家族に伝えたかったこと

激戦地となった硫黄島にある摺鉢山の頂上に、星条旗(米国国旗)を掲げる米兵たちを写した1枚の写真。あまりに有名なその写真の被写体となった元兵士のその後を描いた、米国目線の「父親たちの星条旗」。それに対し日本目線で描かれた「硫黄島からの手紙」は、アメリカ留学経験もある日本陸軍中将の栗林(渡辺謙)とオリンピック金メダリストのバロン西(伊原剛志)、元パン屋の西郷(二宮和也)らが応戦しながらも家族に残そうとした手紙を通じて、戦争の悲惨さを伝える。

中村獅童出典:http://www.reelingreviews.com/lettersfromiwojima.htm

ハリウッドでは、第二世界大戦を取り上げた「戦争映画」が数多く作られているが、ヒトラー絡みに比べると日本との戦を中心に扱った作品は意外に少数派である。さらに日米合作となると「トラ・トラ・トラ」(’70)やフランク・シナトラ監督作「勇者のみ」(’65)くらいではなかろうか。
戦争の当事者目線をひとつの作品に公平に反映させるのは難しい。そこで、イーストウッドが採った手法は、同じ硫黄島を舞台にし日米それぞれの目線で二部作に分けるということ。驚くべきは、合作ではなく米国人による米国映画にも関わらず、全編日本語で撮られていることである。日本で活躍している俳優らが出演しているので、あたかも日本映画のようだが、そこはハリウッド資本の強さ。実際に硫黄島で撮影しているのである。東京都の一部である硫黄島への上陸許可を得るため、イーストウッドは当時の石原慎太郎都知事に陳情のため面会している。
渡辺謙出典:http://www.nytimes.com/2006/12/20/movies/20lett.html?_r=0

米国人監督による日本人目線の戦争史観ではあるものの、日本人以上に日本的な描写すらあり、静かな感動を呼ぶ。どちらが先でも問題ないので必ず二作とも観ることをお薦めする。

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ライター:でっかーど